近日、コロナウイルスの影響による収支計画の破綻等で遊休化してしまう不動産が増加しています。
経費や税金がかかり、所有しているだけではかえって損になってしまう不動産。
今回は、遊休化してしまった不動産をリノベーションを通して再生し収益化する方法を、7つの事例とともにご紹介します。
目次
遊休不動産とは?
遊休不動産とは、企業活動にほとんど使用されていない不動産のことです。
現在日本では、法人が所有している宅地等の土地のうち、12.6%が低・未利用地となっており、そのうち、60.5%は今後も転換の予定が無い遊休土地となっています。※1
(※1)国土交通省『平成30年 土地基本調査 調査の要約』より
築浅の物件であれば売却するかそのまま賃貸し活用するという選択肢もありますが、築年数の経過した物件だった場合買い手や借り手が見つかりづらく、そのまま放置されてしまうケースが多くあります。
遊休不動産は、所有しているだけでも経費や税金といったコストが発生します。
所有不動産が遊休化することはオーナー様にとって大きな損失となります。
コロナ禍における遊休不動産の現状
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、この遊休不動産の問題が深刻化しています。
経済などの市況の先行きが不透明になったことで、
- 建て壊しの延期
- 再開発の延期
- 収支計画の破綻
などの理由から不動産が活用されなくなり、そのまま放置され遊休不動産となるケースが増加しています。
1月上旬に2度目の緊急事態宣言が出され発生から1年が経つ現在においても、終息時期、経済の回復時期は見えていません。
今後もこの状況が継続することを前提とすると、 現状の不動産資産をいかに収益化できるかということを考えていく必要があります。
グッドルームの遊休不動産活用例
グッドルームではこれまでに、様々な理由により活用されていない遊休不動産をリノベーションし、シェアオフィスや賃貸住宅等として再運用し収益化してきました。
その中から7つの事例を取り上げ、遊休不動産の活用方法をご紹介します。
1.シェアオフィス化事例
シェアオフィスは、複数の会社が同じ空間をシェアする新しいオフィスの在り方です。
ユーザーにとっては、賃料を抑えられること、従業員の増減や事業拡大などに応じて柔軟に働き場を変更できることが魅力です。
このことからコロナ発生前のシェアオフィスの主な利用者は、従業員がまだ少なく、社内環境の変化が大きいベンチャー企業でした。
しかしコロナが発生しテレワークが普及した現代においては、利用者の層が変わり始めています。
コロナ発生後、ベンチャー企業の多くは完全にテレワーク就業となりオフィスを借りなくなりました。
一方で、中堅企業・大企業は固定費の削減や感染症対策のために縮小移転やプロジェクト単位で就業場所を分けて就業するようになり、シェアオフィス需要が増加しています。
現在、縮小型オフィス、在宅勤務、多拠点シェアスペースというようにオフィス機能の分散化が推進されています。
シェアオフィスはこのような市況やニーズの変化にも対応しやすいオフィス形態です。
事例①:建て壊し予定の物件を期間限定で収益化
六本木にある当物件は以前はオフィスとして利用されていましたが、開発のため数年後の建て壊しが予定されていました。
建て壊しまでの期間は遊休化してしまうため、その間の活用方法を弊社にご相談いただきました。
築40年だったこともあり、現状で貸し出しをしてもテナントが見つからない可能性があったことから、グッドルームで一棟まるごとフルリノベーション。
建て壊しまでの期間限定で、シェアラウンジ付きのレンタルオフィス「GOODOFFICE」として運用しました。
入居者がミーティングスペースや休憩スペースなどとして自由に利用できるシェアラウンジを設けることで付加価値を生み出し、近隣相場より8千円/坪高い賃料での募集でも完工後1ヶ月で満室となる人気オフィスへと生まれ変わりました。
こちらのオフィスも当初予定していた建て壊し時期が過ぎましたが、コロナウイルスの影響で建て壊しが延期となり現在もシェアオフィスとしての運用を継続しています。
【物件情報】
所在地:東京都港区六本木
建築年:1977年
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造
平米数:20坪×6フロア
賃料:2万円/坪(近隣相場1.2〜1.4万円/坪)
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
こちらの物件の詳細は以下からご覧下さい。
>>施工事例「遊休不動産を活用したい」
事例②:廃業となった病院を一棟丸々シェアオフィス化
次にご紹介するのは、病院からシェアオフィスへとコンバージョンした事例です。
地上10階と地下1階のビルを、1棟リノベーション。
共用のラウンジスペースや会議室を設け、フロア貸しのシェアオフィスへとコンバージョンしました。
各社の執務スペースとは別にラウンジを共用利用とし、一時的に収容人数を超えることがあっても対応できるようにすることで、執務スペースを最小限に抑え賃料をコストダウンすることが可能です。
【物件情報】
所在地:東京都品川区北品川
建築年:1968年
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造
平米数:782.9坪
賃料:ー
(左:リノベーション中 右:リノベーション後)
2.賃貸マンション化事例
稼働率が下がり遊休化している社員寮など、住居として利用されていた物件を再度一般賃貸住宅として再生する際にもリノベーションが有効です。
一棟で賃貸マンション化する場合は、一棟全体で付加価値を向上させるという視点が大切です。
コンセプトを設けたリノベーションで、資産価値を最大化した事例をご紹介します。
事例③:日当たりのない部屋をコモンスペース化し付加価値に
こちらは、もともと社員寮として利用されていた建物を一般賃貸にコンバージョンした事例です。
全部屋での改修をご希望でしたが費用対効果が良くなかったことから、1階北向き、半地下で日当たりの良くなかった1部屋をキッチン付きのコモンスペースとし建物全体に付加価値を付けることで各部屋の賃料設定を上げることにしました。
コモンスペースでは、ホームパーティやワークショップなどの入居者イベントも開催されています。
普段は入居者が自由に使用することができ、現在は在宅勤務が普及したため、ワークスペースとして利用される方も増えています。
入居付けに懸念がある1部屋をキッチン付きのコモンスペースとして再生することで、物件全体がバリューアップ。
周辺の相場賃料が5.12万円であるのに対して7〜8.8万円で入居募集し、完工後1ヶ月で全28部屋が満室となりました。
物件情報
所在地:東京都板橋区成増
建築年:1992年
構造:鉄筋コンクリート造
平米数:21〜25㎡/部屋
賃料:7.7〜8.8万円(周辺相場 5.12万円)
(左:リノベーション前 右:リノベーション後 同じ間取り、別部屋の写真です。)
こちらの物件の詳細は以下からご覧下さい。
>>施工事例「一棟リノベーションし、賃貸化したい」
事例④:15㎡の狭小社員寮を一般賃貸とマンスリーのハイブリッドマンションに
稼働率が低くなっている社員寮を、グッドルームがマスターリース、一般賃貸とマンスリーの2タイプで賃借できる家具家電付きマンションとしてコンバージョンした事例です。
1部屋の平米数が約15㎡とコンパクトなお部屋だったため、現状のまま貸し出しをしても入居付けに苦戦することが予測されました。
そこで付加価値として、家具家電付きのマンションとして運営することとなりました。
リノベーションに加えグッドルームの専門スタッフが家具家電を選別することで、統一感のある空間に仕上げています。
また、15㎡と限られたスペースの中で居室面積を最大限確保するため、室内に洗濯パンは設置せず共用部にランドリースペースを設けています。
家具家電付き、ランドリースペース付きのマンションという付加価値を付けることで、周辺の相場賃料約6万円に対して、7.7〜9.8万円でのご成約となりました。
【物件情報】
所在地:東京都豊島区長崎
建築年:1989年
構造:鉄筋コンクリート造
平米数:15.2㎡/部屋
賃料:7.7〜9.8万円(近隣相場6万円)
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
こちらの物件の詳細は以下からご覧下さい。
>>施工事例「15㎡ワンルーム社員寮の稼働率が下がっている」
事例⑤:マイナー駅の元社員寮をシェアラウンジ・テレワークスペースを設けたコミュニティ賃貸マンションへ
こちらは愛知県にある元社員寮を、コミュニティ賃貸マンションへとコンバージョンした事例です。
最寄り駅の知名度が低いという懸念点があり、通常の賃貸マンションでは入居付けに苦戦することが予想されました。
そこで、物件の1階部分にシェアリビングやワークスペース、ランドリーといった、入居者が自由に使える共用スペースを設けました。
共用施設があるコミュニティ賃貸マンションとして差別化を行うことで、訴求力を高めました。
居室は、社員寮として使われていた当時と同じ1Rのお部屋に加え、1Rを2部屋繋げた1LDKのお部屋も施工しました。
2タイプの居室を用意することで、賃料を抑えて良いマンションに住みたい単身者、一人暮らしでも広いお部屋に住みたい方、二人暮らしの方と入居者の幅が広がり、早期入居付けが期待できます。
【物件情報】
所在地:愛知県稲沢市奥田町
建築年:1980年
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造
平米数:22.35㎡(1R)、44.71㎡(1LDK)/部屋
賃料:1R 3.8万円〜3.9万円
1LDK 6.7円万〜7.1万円
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
こちらの物件に関する記事は以下からご覧下さい。
>>プレスリリース「名古屋鉄道株式会社所有社員寮をコミュニティ賃貸マンション化し運営を開始」
3.サテライトオフィス化事例
2020年4月時点での都内企業におけるテレワーク導入率は5割程度※2となり、それに伴いオフィスの縮小や機能の分散化が進んでいます。
(※2) 株式会社日本総合研究所2020年5月13日Research Eye『テレワーク化でオフィス需要が大幅減に』より)
そのような状況の中で、本社とは離れた郊外にあり、通勤時の混雑を避けることが出来るサテライトオフィスの需要も高まっています。
事例⑥:ブースとオープン席を設けたフレキシブルなサテライトオフィスへ
これまで会議室など多人数で利用するためのスペースをメインとしていたサテライトオフィスを、個人利用ができるブースとオープン席が併設されたフレキシブルに使用することができるサテライトオフィスにリノベーション。
利用者アンケートの結果を反映した施工を取り入れ、職住近接が実現できる郊外型サテライトオフィスとして再生しました。
内装工事に加え、照明などのインテリア・小物のセレクトまでトータルコーディネートで内装のリニューアルを行い、利便性だけでなく居心地の良さも重視したデザイン性の高いサテライトオフィスとなっています。
【物件情報】
所在地:埼玉県富士見市ふじみ野東
平米数:83.10㎡
席数:16席
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
こちらの物件の詳細は以下からご覧下さい。
>>プレスリリース「東武鉄道運営の郊外型サテライトオフィスのリノベーションを担当」
4.シティーホテル化事例
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い観光客が激減したことで、多くのホテルが打撃を受けています。
ターゲットの変更を含めてリブランディングを行うことで、現在のトレンドに合った運用形態に変更し稼働率を改善することが可能です。
事例⑦:稼働率が下がったレジャーホテルをシティーホテルへリブランディング
元々レジャーホテルとして運営されていましたが、稼働率が低下してきたことからリノベーションのご相談を頂きました。
ターゲットを国内のビジネス客とし、シティーホテルへリノベーション。
ホテル全体の収益性を考慮し、これまで会議室であったスペースをフロントとラウンジに改修し、1階はテナントスペースとしました。
また、こちらの物件ではグッドルームが提供するホテル長期滞在サービス「goodroomホテルパス」を通して、開業後の支援も行います。
goodroomホテルパスの入居募集ページにマンスリーマンション等と一緒に掲載することで集客に繋げ、稼働率の向上に貢献します。
昨今広がりを見せているテレワークやワーケーション需要はもちろん、マンスリーマンション代わりにホテルを利用するという需要も取り込めることが期待できます。
【物件情報】
所在地:千葉県千葉市中央区
建築年:1990年
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造
平米数:3788.88㎡(総客室数60室)
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
こちらの物件の詳細は以下からご覧下さい。
>>プレスリリース「7階建てホテルをリノベーション リブランディングから集客まで提供します」
今回は、リノベーションを通した遊休不動産の再生方法をご紹介しました。
コロナ禍で先行きが不透明な状況が続く中、現状の資産をいかに収益化できるかが今後の大きな課題となります。
取り壊し予定だが現在は遊休化している、経年劣化し稼働率が下がっているといった不動産の活用方法の1つとして参考にしてください。