洋室のマンション・アパートが増える中、「和室だから入居が決まらないのではないか?」と和室の空室にお悩みになっているオーナー様もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、和室の改修をご検討されている賃貸マンション・アパートのオーナー様へ向け、
和室の入居者ニーズと、和室のお部屋のリノベーション事例をご紹介します。
目次
1.賃貸で和室は入居が決まらない?
和室は人気がないというイメージがある方が多いかと思いますが、実際はどうなのでしょうか?
グッドルームが運営するお部屋探しポータルサイト「goodroom」でお部屋探しをされているお客様の傾向を基にご紹介します。
結論から言うと、和室を懸念に思われる入居者様が多いことは事実です。
その理由の一つに、ライフスタイルの洋式化が挙げられます。
以前は和室で床に座るライフスタイルが主流でしたが、近代ではベッドやソファ、ダイニングテーブルなどを使い床に座らない洋式のライフスタイルが主流となっています。
そしてそれに伴い人々が所有する家具も、大型で洋風のものとなりました。
また、近年に新築された物件はほとんどが洋室です。
若年層を中心に、和室での生活を経験したことがない方も増えています。
・大型家具で畳を傷つけてしまう
・古い印象がある
・和室は所有しているインテリアが似合わない
・手入れが大変そう
・そもそも床に座るライフスタイルに慣れていない
といった理由から和室に対して懸念を抱かれる方が多く、避けられてしまう傾向にあります。
和室のあるお部屋に住まわれる方は、
・賃料が他物件よりも安い
・2LDK以上の広さのお部屋で、和室だけでなく洋室もある
などの条件によって、妥協して選ばれている方がほとんどです。
もちろん中には、
・幼少期から畳に慣れ親しんでいる
・外国から移住しており日本式の生活をしてみたい
などの理由から和室を好まれる方もいらっしゃいますが、このような方は少数派だと言えるでしょう。
そのため、和室を改修する際には基本的に洋室化してしまうことがおすすめです。
特にワンルームのお部屋の場合は、畳の上にベッドやソファを置くことになってしまうため懸念となりやすくなります。
一方で和室のメリットとしては、
・段差が少ない
・材質がやわらかいため、転倒しても怪我をしづらい
などが挙げられ、小さいお子さんがいるご家庭にとってはメリットが大きい様式でもあります。
そのため、2LDK以上のファミリー物件では1室が畳であっても他のターゲット層の方と比べると懸念となりにくいです。
また、最近では縁がない畳や、様々なカラー・サイズバリエーションの畳が流通しています。
賃貸における和室といえば、緑色の畳縁(たたみべり)がついた畳のお部屋をイメージされる方も多いかもしれませんが、選ぶ畳や壁材によっては和室の古さを払拭しモダンなお部屋に仕上げることも可能です。
モダンな和室であれば、一般的な和室よりもデザイン性が高まり懸念となりにくいです。
2.和室のリノベーション事例
ここからは、実際のリノベーション事例を用いて和室の活用方法をご紹介します。
①和室を残す
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
一つ目の選択肢が、既存の和室を残すことです。
・2LDK以上の広さがある
・ファミリー層をターゲットとしている
・リノベーション費用は極力抑えたい
といった場合は、和室を残すこともおすすめです。
こちらのお部屋では、既存の和室をそのまま残してリノベーションを行いました。
リビングの横にある和室は、子供が遊ぶスペース、来客用スペース、ワークスペースなど汎用的に使用することができます。
>>goodroom journal 「和室を書斎に大変身!カラフルな色合いと植物溢れる3DK二人暮らしのインテリア 私らしく暮らす。賃貸インテリア Vol.112」
和室を残すといっても、他の箇所はリノベーションで新しくなっているため現状のまま残すと古い和室は浮いて見えてしまいます。
そのため最低限の補修は必要です。
こちらのお部屋では、畳の表替え、窓際の障子張り替え、天井のクロス張りを行い古さの懸念を軽減しています。
②和室を洋室化する
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
最もおすすめのリニューアル方法が、洋室化してしまうことです。
洋室化する際には、他フロアとの段差に注意する必要があります。
和室の場合、畳の下にある床の高さと他のフロアの床の高さが異なる場合があります。
そしてその段差は洋室化により解消できる場合とできない場合とがあります。
段差が解消できない場合は、段差によりスペースが区切られることになります。
ワンフロア内に段差があると、不自然に境界線ができてしまいます。
そのため段差が解消できない場合は、段差の境目に間仕切りを設け別室化する必要があり、間取りに制限ができます。
こちらは1DKの間取りで、寝室が和室だったお部屋をリノベーションした事例です。
ダイニングと和室1部屋の1DKは、築30年以上のお部屋でよく見られる間取りですが、和室に大型家具であるベッドが置きづらいため現代の入居者様には避けられる傾向にあります。
こちらの物件では、既存間取りと入居者ニーズを考慮した上で、和室1DKを洋室1Rに変更しました。
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
ワンルーム化したことでお部屋が広く見え、3点ユニットバスを分離しても閉塞感を感じないお部屋になりました。
和室の1DKでは置ける家具が限られてしまいますが、洋室化し1R化したことで設置できるインテリアの幅も広がりました。
>>和室ワンルーム事例「賃料はアップさせたいが、本当に客付けできるのか不安」
③和室を新設する
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
3つ目の選択肢が、和室を新設することです。
最近では、一般的な緑色だけでなく色や形も多様なデザイン性のある畳が流通しています。
それらの畳を使った和室を新設することで、床がやわらかいことや客間として使えることなどの和室のメリットとモダンな印象になるという洋室の良いとこ取りをすることができます。
また、このようなモダンな和室がある賃貸住宅はまだまだ珍しいため、競合物件と差別化することができます。
写真のお部屋は、3世帯入居を想定して建設された戸建てを分割し3部屋の賃貸マンションへとリノベーションした事例です。
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
こちらのお部屋では、グレーの琉球畳を使用した和室を設けているのが特徴です。
畳以外の壁なども、グレーと白でデザインし統一感のあるモダンな和室となりました。
現代において、和室の入居者ニーズはあまり高くありません。
そのため、和室1部屋しかない賃貸住宅の場合は洋室化してしまうことがおすすめです。
しかし広いお部屋で、ファミリーや外国人など特定の方を対象する場合などは和室を残したり、和室を新設することも良いでしょう。
和室の空室にお困りのオーナー様がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。