昨年の春に国土交通省が指針を発表し、注目ワードとなっている「カスタマイズ賃貸」。
一方で2014年は、少子高齢化に伴い、都市のあちこちで増え続ける「空き家」が社会問題として大きくとりあげられた年でもありました。
原状回復ナシで、自由に壁を塗ったり、棚をつけたり。入居者にとっては嬉しい「カスタマイズ賃貸」のサービスですが、オーナーさんにとってのメリットって何なんでしょう?
リノベーションの工事を請け負って、入居者さんに仲介するところまで、一貫して手がけているハプティックは、オーナーさんの声も、入居者さんの声もそれぞれお聞きすることの出来る、貴重なポジションにいます。
というわけで、オーナーさん×入居者さん対談第一弾。昨年、「カスタマイズ賃貸」でお部屋をリノベーションし入居された「TOMOS北品川」のオーナーさんと入居者さんに体験談をお聞きしました。飛び出すありがたいお言葉の数々。全担当スタッフが泣きました。
カスタマイズ賃貸は「空き家問題」の救世主になるか!? ―オーナーさん×入居者さん対談第一弾 「TOMOS 北品川」
オーナーさんは老舗呉服店の5代目店主、大橋さん
江戸時代からの宿場町として栄えた北品川商店街。
ビッグターミナル品川まで至近の立地でありながら、どこか庶民的な町並みにほっとする、魅力的な街です。
今回リノベーションをした建物「TOMOS北品川」は、東海道第一の宿場町として栄えた歴史ある商店街の中ほどにあります。こちらのオーナーさんは、生まれも育ちも北品川、明治23年創業の尾張屋呉服店5代目店主の大橋さん。呉服販売業のかたわら、お父様がお持ちの物件や、ご自身で購入した物件の不動産業経営を始めて3年になります。
「父にもしものことがあった場合、相続税の問題があります。
呉服店存続のためのひとつの手段として不動産業を始めました」
工事をした部屋は、なかなかのヘビー級空き家。はたして入居者はつくのか!?
今回リノベーション工事をしたお部屋は、かなり長い期間、同じ入居者さんが住んでいたお部屋。退去後に足を踏み入れた大橋さんは、その惨状に驚いたといいます。
「写真だとこれでも綺麗にみえますが、実際はもっとすごかった……
この部屋に一体どうやって住んでいたのか!? と思うくらいでした」
「工事の前に入居者を見つけてきます」という驚きの提案
早速、10社以上にリフォーム工事の見積もりをとったという大橋さん。
手前味噌ですが、ハプティックのリノベーションブランド「TOMOS」は、賃貸のお部屋によくありがちなクッションフロアなどを使ったフツウの原状回復とは一線を画し、無垢フローリングでかつ統一感を持たせた内装に自信があります。大橋さんが「TOMOS」に目を留めてくださったオーナーさん向けのフェアでも、無垢フローリングの居心地の良さにこだわった出展をしていました。
「フェアで3つスタンプを押すとレトルトカレーがもらえるキャンペーンをしていて。
そのスタンプを集めていたら、こっちから何も言ってないのに、
“スタンプ、押しますよー!”って手招きしてくるところがあって、それがTOMOSのブースだった。
親切な会社だなぁ、と思って(笑)。最初は何をしてる会社なのかもわからなかった。
話を聞いてみたら、リフォーム工事の会社だっていう。それで提案してもらったんです」
そこで意外にも、大橋さんのココロをつかんだ提案は、無垢フローリングの内装ではありませんでした。
「どこの会社も、“こういう内装にすれば、いくらかかる”というだけの提案でした。
それが、“こういう内装で、○○万円で住んでくれる入居者を先に見つけてきます。
そのあとで工事をしましょう”という提案は他になかった。とても新鮮でした」
引越10回目の猛者、加藤さんが工事前に名乗りをあげた
「入居者を先に見つけてくる」とは一体どういうことでしょう?
大橋さんにリノベーションチームが工事の提案をしている一方、その頃、ハプティックのお部屋探しサイト「グッドルーム」を見てご来店してくださったのが、6件の賃貸マンション、3件のシェアハウスを経て、今回で引越10回目というお部屋探しマニア(?)の加藤さん。ご来店いただくなり、「次の引越は絶対TOMOSにするってきめてました!」とお話しくださったほどの「TOMOS」のファンでした。
それならば!と担当がご紹介したのが、TOMOSの工事提案中物件。TOMOSのお部屋は、工事開始前や工事中のお申込みなら、壁の色を選んだり、オプションのパーツを取り付けたりすることができる「カスタマイズ賃貸」のサービスを実施しています。お部屋にこだわりの強い加藤さんにはきっとぴったりと踏んだのです。
そして、たくさんのお部屋の中から、条件面でぴったりだと選ばれたのが、大橋さんの北品川のお部屋だったのです。
―でも工事前のこのお部屋は先ほど見てのとおりの惨状だったはず……不安はなかったでしょうか?
「実際行ってみたら、換気扇に鳥が巣を作っていたぐらい、ヤバかったです(笑)。
決め手は、(水周りもすべて交換の)フルリノベーション物件であったことと、そして立地。
元々グッドルームでたくさんのTOMOS物件を見ていた上に、他に3部屋の完成済みのお部屋を内覧させてもらったので、安心して決められました」
こうして、リノベーションチームとグッドルームの連携プレーにより、「入居者を先に見つけてきて工事」が現実のものとなりました。
リノベーション工事前に入居者さんをご紹介することで、入居者さんは「カスタマイズ」の要望を伝えることができ、オーナーさんは、安心して工事を進めることができる。そういう関係にあるんですね。
「本当に工事前に見にきたいっていう人があらわれて。
オーナーとしては、こんな状態で見せてもいいの?不安になっちゃうんじゃないの?と心配したけど、
全然気にしないっていう人が来て、びっくりしました。
話がうまく進みすぎて、だまされてるのかな? と思っちゃった(笑)」(大橋さん)
自分たちで壁が塗れる。それだけで高まるプレミアム感
こうして無事工事が始まったお部屋。
加藤さんのご要望と、大橋さんの意向をすりあわせながら、「カスタマイズ」の詳細を決めていきます。
加藤さんに選んでもらった色で、壁塗装をすることになり、塗装のプロにやり方を教わるワークショップ形式で実施しました。もちろん入居者の加藤さんも、そしてオーナーの大橋さんにもご参加いただき、当日は真夏日にもかかわらず10名以上が集まって大盛況。
工事側の人間からすると、塗装の人工分、皆さんに働いてもらっちゃったことになるんですが、参加者の方は塗り終わって「楽しかった」と満足してくださる上、TOMOSにも興味津々になって帰っていくのがなんだか不思議。賃貸のお部屋ではそれだけ、壁を塗れちゃう、ということ自体が未だかなり珍しいという原状もあると思います。
―オーナーさんとしては、入居者さんが部屋をカスタマイズする、塗装する、ということについてはどう思いますか?
「全部出来てから入居するのは日本だけで、欧米ではあたりまえのこと。
いつかそういうふうにしたいと思っていました。
今回は、プロの指導のもとにやってもらえたので、仕上がりにも安心できた。
それに、色の説明をしてくれて、住んでいることのプレミアム感があった。暮らしに貢献できるのが嬉しいです」
そして加藤さんも。
「本当に楽しかったです。そして何よりも、愛着が沸きました!
当日の様子をFacebookにUPしたのですが、それをみた友人から家に来たいと
たくさんのラブコールをもらえたのも嬉しかったです」
「オーナーとしては、部屋に愛着を持ってもらうことができたのは、非常に満足です」(大橋さん)
こんなふうに、「カスタマイズ賃貸」の輪はどんどん広がっていくのかもしれません。
「空き家がでるのが楽しみ」
古い建物だったので、オーナーさんには追加工事の費用がけっこうかかってしまったり、入居者さんにも、入居開始時点でカスタマイズ要望だったウォシュレットがついていなかったりといった、じつは、ちょっとしたトラブルもたくさん乗り越えてのご入居でした。
でも、今回お話を伺ってみて、お二人からたくさんのポジティブなお言葉をもらえたことに、伺ったほうがびっくりして感動してしまうほど。
「施工前の入居決定だったため色々わがままを聞いていただけた。
これまでに色々な物件に住んできた中での“こうだったらいいな~”を、ほぼすべて叶えていただきました。」
引越10回目の加藤さんからいただくお言葉だと思うと、重みがちがいます。
入居者側からすると、「制約がとても多い」という印象の強い賃貸住宅。少しでも「カスタマイズ」できるというのは、大きな魅力として感じていただけたようです。
そしてオーナーの大橋さんからも頼もしいお言葉が。
「今までリフォームはお金をなるべくかけないようにとやってきたが、結局は一気にやらないと追加で費用がかかってしまう。一気にやってしまったほうが後々オーナーさんのトクになりますよ、という提案に納得しました。
それに、すべて綺麗にしたほうが、高い家賃で、こだわりのある人、家を大事にしてくれる人が住んでくれる。結果、綺麗に維持してくれることもわかりました。今は、また空き家が出て、コンセプトを考えるのが楽しみです」
その工事、またぜひハプティックでやらせてくださいね。
入居者さん、見つけてきますので!
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今回の「TOMOS 北品川」の例のように、工事前に入居者さんを見つけてきてから工事を開始する、安心のリノベーション「入居者つきリノベーション」を実施しています。
「入居者つきリノベーション」について詳しくはこちらから!