築古物件を現代の生活様式に合った形に再生するリノベーション。
リノベーションは賃貸住宅において、空室解消や賃料アップなど大きな効果をもたらします。
築年数が経つとともに、いずれは必要となるリフォームやリノベーションなどの大規模修繕に備えて、施工の流れを知っておきましょう。
目次
STEP1.空室の要因を考える
空室対策としてリノベーションを実施する場合、まずはリノベーションがご所有の物件にとって最適な手段であるか検討しましょう。
リノベーションは空室対策として大きな効果を発揮しますが、その分他の空室対策と比較して費用も大きくなります。物件の現状をきちんと把握した上で、適切な空室対策を考えましょう。
空室対策は「費用」と「効果の持続性」で考えることをおすすめしています。
例えば、賃料の値下げなどの条件の変更は容易にでき費用もかかりません。
しかし効果は一過性のものであり、次回の募集時にはまた、条件を再設定しなければなりません。
条件を緩和して入居が決まった場合、設備の劣化や使いづらい間取りなど、お部屋自体の課題は解消されていません。
また、さらに築年数が経過していることを踏まえると、前回の値下げ後の賃料と同額で決まることも難しいかもしれません。
そこでさらに賃料を下げてしまうと、経年とともに必要な修繕費も賄えなくなり、修繕されないためさらに入居が決まらないという負のスパイラルに陥ってしまいます。
このように効果の持続性で考えると、賃料の安易な値下げは一時的な効果をもたらす一方でマイナスな効果も生まれることが分かります。
一方、リノベーションは賃料の値下げと対極にあります。
一度リノベーションを行ってしまえばその後長期間に渡って修繕の必要性が低くなり、施工内容によっては賃料を上げることもできます。そのため効果の持続性は非常に高いと言えます。しかし必要な費用も大きくなります。
リノベーション実施時に注意しなければならないことは、「得られる賃料収入」と「施工費のバランス」です。このバランスが取れていないと、効果の持続性が高いリノベーションであっても費用対効果の悪いものとなってしまいます。
やみくもに対策をとるのではなく、きちんと所有物件の抱えるお悩みを明確化した上で、適切な空室対策を選択しましょう。
>>参考コラム「空室を埋めるには何をしたら良い?費用対効果で考える空室対策」
STEP2.リノベーション会社を選ぶ・資料請求
空室対策としてリノベーションが適切だった場合、次にリノベーション会社を選びます。
一口にリノベーション会社と言っても、その種類は様々です。
まず、自宅のリノベーションを主としている会社と賃貸住宅のリノベーションを主としている会社があります。
自宅リノベーションではお客様ご本人が長く住まれるため、細かな要望に答えるためデザイン性やカスタマイズ性が必要です。
一方、賃貸リノベーションでは複数名が入れ替わりで住むため、多くの人に好まれるデザインであることが必要です。
賃貸住宅におけるリノベーションは投資として行われるため、賃料のアップ額や入居者募集の実績なども重要です。
また施工内容においても、クロスなどの表層リノベーションのみで費用を抑えた施工を得意としている会社や、フルリノベーションが得意で大幅な賃料アップの実績がある会社があります。
弊社のようにリノベーションからリーシングまでセットになった会社もあれば、施工のみを行っている会社もあります。
会社の規模や施工費だけでなく、その会社の特徴や力を入れている事業をしっかりチェックしましょう。
所有する物件のお悩みとマッチしている、会社方針に共感できるかどうかを基準にリノベーション会社を選ばれることをおすすめします。
>>参考コラム「リノベーション会社の選び方 〜賃貸・自宅リノベーションをお考えの方へ〜」
STEP3.リノベーションの実施
では、実際にリノベーションを行う場合、どのようなステップを踏み、どれくらい期間が掛かるのか、リノベーションから入居者付まで行っている弊社の事例を基に具体的にご説明いたします。
1.ヒアリング・現地調査
問い合わせ後、物件の状況を確認するためにヒアリングと現地調査を行います。
ヒアリング内容は、築年数や構造など物件の基礎情報や修繕履歴、これまで入居されていた方の特性、想定される空室の要因や物件の課題などです。
現地調査では、お部屋の寸法と修繕が必要な箇所を確認します。
これらの情報を基に、リノベーションの方針が決まります。
リノベーションの肝となる工程なため、物件情報を可能な限り詳細に担当者に共有してください。
要望や悩み、予算なども、この時に相談しましょう。
・物件の基礎情報や修繕履歴を確認しておく
・要望や悩み、予算を洗い出しておく
2.提案
リノベーション会社からの提案を聞き、実施を判断しましょう。
提案されているリノベーションが適しているか判断するために、費用が記載されている見積書と収支表、施工後のイメージを確認しましょう。
リノベーションは施工費用だけで実施を判断してはいけません。
想定賃料から回収年数や利回りを算出し、全体の収支を見た上で投資として適しているか検討してください。
回収期間の目安は3年〜3年半とされることが多いです。
一見高いように見えても、回収年数が短く利回りが良ければ良い投資であると言えるでしょう。
提案される想定賃料の算出方法は、各会社により異なるため賃料も変わります。
グッドルームでは、近隣の一般物件と比較するとともに、過去の施工事例から想定賃料を設定しています。
一般物件との比較を行う際は、業者専用データベースを用いて基本的に過去5年以内に成約した物件を対象に比較しています。
また、弊社施工物件TOMOSは2000年前後に建築された築20年程度の物件と対抗することが多いため、これらの築年数の物件を中心に比較しています。
またグッドルームオリジナルの査定方法として、全国に5000件以上ある過去施工のTOMOS物件から近隣にある物件と比較し賃料を設定しています。
TOMOSは全て同じ仕様で施工しブランド化しているため、より適切な賃料設定を行うことができます。
>>参考コラム「原状回復?リノベーション?決める前に収支の計算を!」
併せて、デザインや間取りなど、施工内容の確認も行いましょう。
グッドルームでは、施工間取りを考案する専任部署を設け、建築的な目線で実施可能な施工内容を確認するとともに、入居者ニーズを踏まえて間取りを決定するようにしています。
リノベーションのゴールは最適な賃料で入居者が継続的に決まり、オーナー様が安定した賃料収入が得られることです。
それを実現するためには、何よりも入居者様に選ばれるお部屋にすることが不可欠です。
そのため実際にお部屋探しをされているユーザー様と日常的に接している仲介部スタッフと、入居者ニーズや賃貸市場の動向について情報共有を行い、定期的に施工物件に対するユーザー様の反応をフィードバックする機会を設けています。これらで得た情報を基に、実際に入居者様が快適に住まわれることを考慮し、より入居が決まりやすい間取りと施工内容をご提案しています。
施工内容については、ターゲット層や各施工を行う理由を尋ね、入居付けや入居者の使い勝手が考えられたものか確認してください。
上の図は、実際にリノベーションをご提案したお部屋の間取り図です。
こちらは兵庫県尼崎市にある56㎡のマンションです。
元々は和室1部屋を有する3LDKの間取りでしたが、細かく仕切られているためダイニングスペースまで光が届きにく暗い印象となっていました。
オフィスも多い大阪梅田駅や・神戸三宮駅まで乗り換え無しでアクセスできる立地のため、働き盛りである20.30代の2人暮らしをターゲットに以下のように入居者目線を取り入れた間取りをご提案させて頂きました。
- 採光が最も取れるバルコニー側の2部屋をリビングにする
- 会話をしながら料理ができるカウンターキッチンを設置
- リビング側・寝室側両方からアクセスできる使い勝手の良いウォークインクローゼットを新設
>>施工事例No.94「退去後すぐにリノベーションし、空室期間を短くしたい」
・収支の確認
・施工内容の確認
3.契約
リノベーションプランが確定したら、契約となります。
書面による契約に加え、近年では電子契約を導入している会社も増えてきており弊社でも原則電子契約を使用しています。
最終的な施工詳細と金額を確認し、サインをします。
・施工指示書、仕様書など施工詳細の確認
・書面 or 電子契約書の確認とサイン
・契約金額のお振り込み
4.入居募集
契約が完了したら、入居募集を行います。
早く入居条件を決め募集を始めることで、空室期間を最小限に抑えることができます。
しかしリノベーションが完了する前に入居募集を行うことは、「完成してみると想定と違った」といったトラブルが発生するリスクがあり、またお部屋ごとに仕様が異なるリノベーションを行っている会社ではafterイメージ写真が少ないためにそもそもお申し込みに至りづらいというデメリットがあります。
そのため完工後お部屋を見られる状態になってから、募集を開始するリノベーション物件もあります。
グッドルームでは、施工内容がパッケージ化されており、過去の施工写真からお部屋のイメージを忠実にお伝えできるため、完成前に募集をしても、トラブルなくお申し込みをいただくことができるため、工事開始前から募集を開始します。
・賃料や敷金・礼金の金額といった入居条件決め
・入居申し込みがあった際の、入居者審査
5.施工
施工内容や会社により施工期間は異なりますが、グッドルームでは、施工準備期間2〜3週間ほどを含めて、約1ヶ月半〜2ヶ月半かけて施工を行います。
近隣住民への施工を行う旨の周知などは、基本的にリノベーション会社が請け負います。
施工が始まったら、後はリノベーション会社に一任して大丈夫です。
写真等を用いた進捗報告や、中間検査などを行う場合もあります。
・リノベーション会社からの進捗報告の確認
・中間検査(任意)
6.完工
施工が完了したら、施工不備や汚れなどがないか確認します。
気になることがあれば指摘し、修繕を依頼しましょう。
ご納得いただける状態になったら、完工です。
・完成後のチェック
今回はリノベーションの流れについてお話しさせて頂きました。
物件の経年劣化は避けることができませんが、リノベーションを行うことで築年数が浅い状態時と同程度の競争力を再び持たせることができます。
リノベーションは、長期的に健全な賃貸経営を行うための手段の一つです。
いつか必要になった際には、この流れに沿ってリノベーションを検討してくださいね。