所有するマンションやアパートの空室。
特に築年数が経過した物件では多くのオーナー様が直面する問題です。
リノベーションは効果的な空室解消法の一つですが、費用や工事期間といった面で不安に感じる方も多くいらっしゃると思います。
今回は、ご相談いただくことの多い1Kタイプのお部屋にフォーカスして、長期空室の原因から、リノベーションによる解決方法、かかる費用やスケジュールに関して事例を交えながら詳しくご紹介いたします。
目次
1.1Kのお部屋の長期空室の原因とは?
空室の要因を正確に捉えることが、より抜本的な空室対策に繋がります。
①賃貸住宅全体の供給過剰
まずは供給状況について確認していきます。
不動産評価Webサイトを運営している、株式会社タスが発表した2011年〜2020年までのデータをまとめると、1都3県の空室率は以下のように変化しています。
■首都圏 空室率TVI(タス空室インデックス)2011年〜2020年
2011年〜2020年各年10月期のデータをもとにグッドルームでグラフを作成
2011年〜2020年の間に、東京市部を除き空室率が緩やかに上昇していることが分かります。
■首都圏 空室率TVI(タス空室インデックス)2019年〜2021年
2019年〜2021年各月のデータをもとにグッドルームでグラフを作成
さらに直近3年間である2019年〜2021年のデータをご覧頂くと、東京23区と神奈川県では空室が増加傾向にあることが分かります。
■新設住宅着工戸数の推移(首都圏:総戸数、利用関係別)
国土交通省が令和2年度に発表した住宅経済関連データによると、新設住宅の総戸数が減少していく中で貸家の新設住宅着工戸数は全体的に増加傾向にあることが分かります。
これには、税制改正により、相続税の節税対策として賃貸経営に乗り出すケースが増加したことなども原因の一つとして挙げられています。
人口が減少トレンドに入り住宅のニーズも減少する中で、賃貸の着工数は増加。供給と需要のバランスに変動が出始めていることが見て取れます。
■【東京23区】世帯数増減推移と貸家着工数推移
上のグラフを見ていただくと、23区内では貸家着工数が新型コロナウイルスの感染拡大前後で大きく変化していないのに対し、世帯数は大幅に減少していることがわかります。
さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響で、首都圏への人口流入が減少しました。
自粛、移動の制限といった状況が長期化することで、法人の転勤抑制や引っ越しの自粛などさらなるギャップの更なる拡大が懸念されます。
②テレワーク普及による広いお部屋への需要増加
新型コロナウイルスの影響は、住む場所に加え、お部屋の広さに関してもニーズに変化をもたらしています。
■今後住み替えたい住宅への希望 (本調査/住み替え意向あり/複数回答)
■テレワークに際する不満(本調査/全体/複数回答)
これまでは「会社から近ければ、広さは気にしない」、「外出が多いので間取りは気にしない」といった入居者様も多くいらっしゃいましたが、
在宅時間の増加やテレワークの推進により、より広いお部屋やテレワークに対応した賃貸への需要が高まっていることが上のグラフからも分かります。
広さが限られていることも多い1Kのお部屋は特にこの影響を受けやすく、1Kにお住まいの方が1DKや、1LDKのお部屋に引っ越すといった需要が以前より増加しています。
先にあげた、賃貸市場全体で起こっている供給過剰に加え、テレワーク推進により需要が減少している1Kのお部屋ですので、
特に駅から離れていたり築年数が経過した1Kのお部屋があった場合、入居者が決まるのを待っているだけでは、空室が埋まらない可能性があります。
しかし、内装にこだわって近隣物件と差別化したり、入居者ニーズを取り入れたお部屋にするなど抜本的な対策を行うことで、
数年空室だった物件もリノベーション工事中に入居者が決定したという事例も多くあります。
2.差別化により入居者獲得!リノベーション事例3選
ここからは、実際に1Kのお部屋で上であげたような空室対策リノベーションを行い、早期入居付や賃料アップを叶えた事例をご紹介します。
賃貸リノベーションにおいては、課題解決による空室解消はもちろん、投資回収ができるかという点も重要となります。
グッドルームでは、活用できる既存設備は残しつつ、入居者ニーズの高い施工を行うことで、費用対効果の高いリノベーションを実現しています。
施行内容からリーシング結果、費用などもご紹介させていただくので、もしリノベーションをご検討されているオーナー様がいらっしゃいましたら是非参考にしてみてください。
事例1:お風呂を既存利用したリノベーション
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
こちらのお部屋では、まだ使えるお風呂は既存を活用してコストカットしつつ、無垢床施工や、2口コンロつきキッチン、独立洗面台の新設など、近隣物件と差別化出来る施行を取り入れています。
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
元々は洗面台付きの浴室でしたが、独立洗面台を新設できるスペースを確保できたため分離しました。
まだまだ使える浴槽は既存を活用し、水栓や壁、鏡など経年変化の見られる部分だけ変えています。
丸ごと残すと既存部分だけ目立ってしまうことがありますが、シート貼りや塗装。部分交換など、細かい工夫を施すことで、ここまでお部屋全体の雰囲気に馴染ませることが出来ます。
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
玄関入ってすぐにある、第一印象を左右するキッチンは交換しています。
1口→2口になったことに加え、デザイン性の高さもポイントです。
白を基調としたシンプルなデザインでお部屋との馴染みがよく、備え付けの木製ラックに入居者様お気に入りのコップなどを置けば、魅せるキッチンが完成します。
統一化されたデザインが多い賃貸の設備ですが、グッドルームでは仲介スタッフを通して得た入居者ニーズを都度施工に落とし込んでいるので、他の賃貸では見られない特別感のある内装となっています。
before/after図面
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
従前賃料・・・7.1万円
従後賃料・・・8.6万円
工事費用・・・200万円
事例2:既存設備を活用し、費用を抑えたリノベーション
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
こちらも先程のお部屋と同様、交換費用の高い浴室などはリニューアルで対応しつつ、入居者ニーズを意識した施工を取り入れることで賃料1万円アップを叶えています。
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
先程同様経年変化も少なくまだまだ使える浴室だったので、浴槽はそのまま活用し、横にひねるタイプの水栓は交換しました。
1面に薄いブルーを取り入れることで古さを感じさせない、清潔感のある浴室となります。
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
トイレにおいてもまだ使える便器は既存を活用。
木製の棚やペーパーホルダー、タオルホルダーを設置することでナチュラルなお部屋の雰囲気にばっちり合ったトイレとなりました。
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
木枠のミラーや、居室と同じ落ち着いたカラーのクロスがオシャレな洗面台まわりとなりました。
“独立洗面台あり”は入居者様に人気の条件ですが、デザインのもこだわった独立洗面台を設置している賃貸は希少です。
既存活用でコストを抑えつつ、入居者に好まれる設備をプラスすることで、予算内で競争力の高い物件を目指すことが可能になります。
before/after図面
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
従前賃料・・・6.8万円
従後賃料・・・7.8万円
工事費用・・・125万円
事例3:1Kを2部屋を繋ぎ、1LDKにリノベーション
(左:リノベーション前 右:リノベーション後 beforeには似たお部屋の写真を使用しています)
元々は1kのお部屋が多い物件でしたが、入居者層を広げるために1Kのお部屋2部屋を繋ぎ、1LDKのお部屋を増やしています。
近隣に競合1Kが多かったり、2人暮らし以上のニーズが高い場合に有効なリノベーション方法です。
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
また、こちらの物件は1階部分にワークスペースが設置されており、現代のニーズをいち早く取り入れた賃貸となっています。
このお部屋の詳細はこちらからご覧ください
>>施工事例No.121「稼働率が低く遊休資産となった元社員寮を、一棟リノベーションし収益化したい」
before/after図面
従前賃料・・・元社員寮のため不明
従後賃料・・・6.7万円〜(管理費込)(1LDK)
供給過剰やニーズの変化によって、1K物件の入居者付けにお悩みを抱えるオーナー様は多くいっらしゃるのではないでしょうか。
仲介スタッフも抱えるgoodroomでは、入居者様のお声をいち早くキャッチし、施工に落とし込む事が可能です。
駅から離れている、築年が経過しているといった物件でも、内装での差別化や2部屋を繋ぐ施工など様々な方法で空室解消を叶えてきました。
また、お部屋の状態やご予算に応じて既存を活用しつつリノベーションすることも可能です。
1Kのリノベーションをご検討中のオーナー様は、是非一度お気軽にご相談ください