築古物件を改修し、新たな価値を加え再生する手段であるリノベーション。
リノベーションという言葉は知っているものの、どのようなリノベーションがあるのか分からない、具体的にどこを施工すれば良いのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、そのようなお悩みをお持ちのオーナー様へ向けて、リノベーションの種類と施工箇所の選び方をご紹介します。
目次
1. リノベーションとは
近年中古物件の増加とともに広く知られるようになってきたリノベーションですが、実はその定義は各リノベーション会社により様々です。
中古物件を工事することというのは共通していますが、施工範囲や仕様、得られる効果は各社の捉え方により異なります。
グッドルームでは、リノベーションを“新しい価値を生み出す為の改修工事”と定義しています。
お部屋を既存状態に戻すだけでなく、+aで新たな付加価値を付け長期的に価値が持続するお部屋づくりを目指しています。
2. リノベーションの種類
リノベーションの種類はプランの形態と施工範囲により、それぞれ2タイプに分けられます。
今回は実需ではなく投資用の目線で、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
以下を確認しどちらが希望に近いか検討してください。
プランの形態
メリット | デメリット | |
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オーダーメイド型 |
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パッケージ型 |
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オーダーメイド型
オーダーメイド型は、デザイン・設備や施工箇所を一つ一つ選択して作り上げるリノベーションタイプです。
物件ごとにデザインや設備を選択できるため、賃料帯や入居者ターゲットなど各物件の特性に合わせてリノベーションを行うことができます。
例えば高価格帯の物件であればハイグレードな設備を導入し高級感があるデザインにする、ファミリー物件であればナチュラルなデザインを取り入れるというようなことができます。
また施工箇所も自由に選択でき本当に必要な箇所のみ施工ができます。
このようにカスタマイズ性に優れていることが、オーダーメイド型の一番のメリットです。
一方で、一からリノベーションプランを考える必要があるためプラン策定の時間がかかります。
その分空室期間も長くなるため、デメリットと言えます。
また各物件に合わせて資材の発注等を行うため、施工費用も大きくなる傾向にあります。
リノベーション経験が豊富で資材の選定などもご自身で行ったことがある、より物件に合ったリノベーションをしたい、施工が必要な箇所が少ないという方におすすめです。
パッケージ型
オーダーメイド型とは反対に、デザインや設備、施工箇所が決まっているパッケージ型のリノベーションもあります。
リノベーション内容があらかじめ決まっているため施工に入るまでの期間が短縮でき空室期間も短くなること、
また資材などの大量仕入れができるためオーダーメイド型に比べてコストが低く設定できることがメリットです。
一方基本的には規定の内容で施工をするため、カスタマイズ性は劣ります。
プロに一任したい方、低コストで良い資材を使用したい方におすすめです。
施工範囲
目的 | おすすめの物件 | |
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既存設備活用リノベーション | コストを抑えて、空室解消を目指す |
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フルリノベーション | 物件の空室の悩みを長期的に解消する |
|
既存設備活用リノベーション
既存状態が良い設備を残し、コストを抑えながら空室解消を目指すプランです。
・一部使いづらい箇所を解消すれば入居付けできそう(脱衣所を新設する、和室を洋室化するなど)
・設備状態は良いため、内装のみイメージチェンジし賃料を上げたい
・賃料が上がりづらいエリアのため、費用をかけても賃料で回収できない
という場合におすすめです。
既存設備活用リノベーションの事例はこちら>>「できる限り既存設備を活かして、費用を抑えたい」
フルリノベーション
一部既存活用リノベーションとは反対に、設備から内装まで全てをリノベーションし、物件の空室の悩みを長期的に解消するプランです。
・築30年を超えている、設備交換を全くしてない
・大幅に賃料アップしたい
・今後も長期的に運用し続ける予定である
という方におすすめです。
フルリノベーションの事例はこちら>>「賃料を下げるならリノベして賃料アップ&客付けしたい」
3. 主な施工箇所と、施工すべきかどうかのチェックポイント
リノベーションはあくまでも既存のものを活かしながら+aの魅力を加えるものであるため、構造部分となる柱や天井は基本的には残して施工を行います。
それでは具体的にどこをリノベーションすべきか、主な施工箇所とチェックポイントをご紹介します。
クロス
国土交通省住宅局のガイドラインにおいて、クロスの耐用年数は6年と言われています。
黄ばみなどの汚れなどが見られる場合はクリーニングを行いましょう。
また匂いがひどい場合や、剥がれなどが見られ場合は張替えを行いましょう。
クロスには、定番の白色のものからコンクリート調やレンガ調といった個性的なデザインのものまで膨大な種類があります。
柄物のクロスもオリジナリティがあり素敵ですが、賃貸住宅においてクロスを選ぶ際は注意が必要です。
賃貸住宅には複数人が入れ替わりで入居します。
そのため多くの人が好むデザインである必要があります。
特徴的すぎるデザインは好む人を限定してしまい空室期間が長くなってしまったり、流行りの柄を採用してしまうと最初の入居者様が退去した後に苦戦してしまう可能性があります。
そのため、面積が広くお部屋の印象を決めるといっても過言ではないクロスの選定は慎重に行いましょう。
床
床の耐用年数は同様に国土交通省住宅局のガイドラインにおいて、カーペット、クッションフロアが6年、フローリングは建物の耐用年数(木造で22年、RC造で47年ほど)と言われています。
床が軋んでいる、家具跡など目立つ傷や汚れがある場合は張替えを検討しましょう。
間取り変更
間取りは、時代の変化に合わせて需要が変わりやすい箇所です。
例えば、築30〜40年程度の物件には、ファミリータイプのお部屋であっても8畳に満たないほどのダイニングに個室が複数あるような細かく区切られた間取りのお部屋が多くあります。
しかし一世帯の人数が減少傾向にある現代では、部屋数が多ければ良いということはなく、部屋数よりも食事をするダイニングスペースとソファなどを置くリビングスペースが一体となった広めのリビングダイニングが好まれる傾向にあります。
さらにこのコロナ禍で、入居者のニーズにも変化が現れ始めており、この流れは不可逆的なものがあります。
間取り変更をする際は市況の変化や最新の入居者ニーズを踏まえつつ、長く選ばれる続けるように特異すぎない間取りにすることが大切です。
>>参考コラム「グッドルーム仲介部に聞く お部屋探しで入居者が見ているポイント」
現代のニーズに合わせてお部屋を変えることができる点もリノベーションのメリットです。
建築以来一度も間取りが見直されていない場合は、この機会に検討してみてください。
>>TOMOS「ただいま、わたしのお城」
洗濯機の前に扉を付け、賃料アップにつながる脱衣所を新設しました。
設備交換
キッチン
キッチンの耐用年数は一般的には10〜20年程度と言われていますが、実際には不具合・故障が起きてから交換を検討される方が多いようです。
排水管、シンク、水栓、コンロ、換気扇などのひび割れや動作確認を行いましょう。
キッチンの種類にもよりますが、部分的に交換をすることも可能です。
しかしグッドルームでは、築古物件で内装リノベーションを行う際には必ずしも故障をしていなくてもキッチンの交換を行うことを推奨しています。
それはキッチンが居室内にある設備であるからです。
クロスや床など内装がきれいになっていても、キッチンが既存状態のままであると古さを感じやすく懸念点となります。
内装リノベーションを行う場合はキッチンも併せて交換することをおすすめします。
また賃貸住宅のお部屋探しに置いて充実したキッチンであることを条件として挙げられる方は少数派ですが、物件の購入を検討する際は皆さん必ずといって良いほどキッチンの良さを重視されます。
実はキッチンは潜在的な需要が高い設備なのです。
キッチンが優れている賃貸住宅は珍しいため、競合物件と差別化できる可能性が高まります。
>>参考コラム「キッチンリノベーションでつくる、入居者・オーナー双方良しのお部屋」
ユニットバス、トイレ、洗面台
ガイドラインにおいて、給排水、衛生、ガス設備の耐用年数は15年とされています。
しかしキッチンと同様に耐用年数が経ったからといってすぐに使えなくなるわけではなく、不具合や故障が起きてから交換を検討される方が多いです。
ユニットバスにおいては、浴室扉の破損、排水口の詰まり、カビ、金具のサビなどをチェックしましょう。
トイレ、洗面台においては、水漏れや詰まり、陶器のひび割れなどが起こりやすい故障です。
これら水回り設備はリノベーションの中でも最も交換費用がかかる設備であり、使える状態であれば必ずしも交換する必要はありません。
しかし、1Rなどに多い3点ユニットバスのお部屋では浴室とトイレを分離することで大きく賃料を上げることができます。
また、お部屋探しにおいて水回りの清潔さを重視される方が多いのも事実です。
設備の状態と予算を考慮して、交換すべきか否か選択しましょう。
交換するほどではないが清潔感に欠けるという場合は、リニューアルに留めることもおすすめです。
既存設備を残しつつも手を加えることでイメージチェンジができます。
洗面台(左):プラスチックが割れてしまった上部のみ取り外し、木枠ミラーを設置してコストカット。
ユニットバス(右)木目調シートを貼り、長尺ミラーを設置することでイメージチェンジ。
今回は、リノベーションの種類と施工箇所を選定するためのチェックポイントをご紹介しました。
まずはチェックポイントを参考に、ご所有の物件ではどこをリノベーションすべきか確認してください。
その次に、施工すべき箇所の数と築年数などの物件状況や今後の賃貸経営の予定などから、部分リノベーションのみ行うか、フルリノベーションを行うか選択しましょう。
そして最後にオーダーメイド型かパッケージ型のご自身のご要望に合うリノベーションプランを提供している会社に相談しましょう。
グッドルームでは賃貸住宅のリノベーションに特化しています。
そのため空室期間を短縮できるパッケージ型のプランを、部分リノベーションとフルリノベーションの2種類の施工内容でご用意しています。
賃貸住宅のリノベーションをお考えの方はぜひ一度ご相談ください。